Report 未踏会議2026 MEET DAY レポート

イベントタイトル

未踏会議2026 MEET DAY

イベント概要

2026年3月7日(土)、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)と一般社団法人未踏主催、経済産業省共催による「未踏会議2026 MEET DAY」が開催された。
今年も"MITOU WONDER"というテーマのもと、会場参加(東京ミッドタウン・ホール)とライブ配信(ニコニコ生放送、YouTube Live)を併用したハイブリッド形式で行われた。

IPAが実施する、突出したIT人材の発掘・育成事業である「未踏事業」。 その魅力を最大限に発信するために開催された本イベントでは、未踏事業の修了生たちによる画期的なプロダクトやサービスが40以上ものブースで展示され、 石黒浩氏・吉崎航氏のロボット展示、さらに未踏修了生とゲストが繰り広げる楽しいステージや修了生たちによるショートプレゼン、子どもから大人まで楽しめるワークショップなどさまざまな企画が設けられ、未踏事業の新たな魅力に大いに触れられる機会となった。

主催者挨拶

独立行政法人情報処理推進機構理事⻑齊藤裕による主催者挨拶の様子

独立行政法人情報処理推進機構理事⻑ 齊藤 裕

これまで25年にわたり、約2300名の修了生を輩出してきた未踏事業は、数多くの事業やプロジェクトを通じて、日本のイノベーションに貢献してきたと話す齊藤氏。昨年開催された『大阪・関西万博』では、シグネチャーパビリオンをプロデュースした石黒浩プロジェクトマネージャー(PM)や落合陽一PMを始め、多くの未踏事業修了生が活躍したことを喜ばしく思っており、 これから迎えるAI社会でも未踏事業修了生がグローバルにイノベーションを起こし、世界に飛び出していくことを期待している、と話した。また、来場者には 「本イベントで未踏の世界を存分に体験し、新たな知識やインスピレーションを得ていただきたい」と呼びかけた。

共催者挨拶

経済産業副大臣井野俊郎による共催者挨拶の様子

経済産業副大臣 井野俊郎

自身について「社会を変えてやろうという思いで政治家を志して、現在6期目。私も未踏のみなさん同様、スタートアップのようなものです」と自己紹介した井野副大臣。「みなさんと近い世代の政治家として、みなさんはビジネスの世界、私は政治の場でこの社会を少しでも変えていきたいと思っています」と意気込み、「今後の日本の経済成長の基盤となるのはみなさんのような未踏の人材だと思っているので、この日本経済、そして世界経済を引っ張っていくという思いで共に頑張っていければ」と期待を寄せた。

展示ブースライブレポート① ゴールド&シルバーブースプレゼン

野田クリスタルと藤本淳史による展示ブースライブレポートの様子

オンライン参加者のために、この日は2回に分けて展示ブースのライブ中継が行われた。スペシャルリポーターとしてお笑いコンビ、マヂカルラブリー・野田クリスタルと東大芸人の藤本淳史を迎えて行われた最初のライブ中継では、ゴールドブース1社とシルバーブース5社がプレゼンを行った。

冒頭、野田クリスタルが「隣の楽屋が『滝川クリステル』さんで、うっかり(楽屋に)入っちゃうとこでした(笑)」と、その日の出演者である滝川クリステル氏に名前が似ているがゆえのボケを放ち、会場を和ませたところでさっそくブースを紹介。

「株式会社LayerX」は、業務に最適なAIエージェントを迅速に構築し、マルチモーダル検索を実現する「AI Workforce」というサービスを紹介。「AIを作るAIを作っている」と話すAi Workforce事業部の澁井氏に、野田は「人は任せるだけでいいの?怖いですよ。あなたたちの仕事も作っちゃいますよ?そろそろ」とAIのあまりの進化ぶりに驚きを隠せない様子だった。 「株式会社Legalscape」は、複雑な法情報をデータ化し、検索エンジンと生成AIを融合させた高精度なAIリサーチプラットフォームを展示。法律に関する調べごとを高度にサポートする“ワトソン”という法律版のChatGPTを作っていると聞いた藤本は、「これが世に出たらもう、こたけ正義感(注:弁護士資格を持ったお笑い芸人)はいらないですね」と感心しきり。 業界最先端のFPGAや電子回路を試作・開発する特殊電子回路株式会社は、偽物ICと本物ICを見分ける半導体真贋判定装置「シン・IC」を製作。さらに現在は、中古を新品だと偽り高く販売するケースも多いため、真贋判定だけでなく、その半導体が中古か新品かも区別しようとしているという。
ゴールドブースで出展した「フェアリーデバイセズ株式会社」は、人間工学に基づいて設計開発した首掛け型ウェアラブルデバイス「THINKLET®」を活用して開発したプロダクト群や、最新の行動認識AIに関する研究成果を展示。また、開発者向けにTHINKLET開発機(CPO品)をプレゼントする抽選会も同時開催された。将来的には“高専生がホームセンターで買えるパワードスーツ”が目標だという話を聞いた野田は「僕これずっと追っかけたいなあ。実験台にはいくらでもなりますよ」と協力を申し出ていた。
地図の開発をもっと自由にしたいという思いから、地図の共通言語を作り、地図アプリを作れるツールボックス「MapConductor」を開発している「MapConductorチーム」は、5年後には世界中で使われるOSSを目指している。
株式会社グミは、Bot検知システム「Detect Bot」とクラウドデバッグプラットフォーム「PlayTrac」を展示。ソーシャルゲームにおけるBotを特定する技術を同業他社に販売することで、ゲームがBot向けに最適化してしまうことを防いだり、犯罪組織にお金が流れるのを防ぐなど、業界から不正を減らすことが目的だという。

トークセッション①「トップランナーたちが語るAI実装最前線」

トークセッション①「トップランナーたちが語るAI実装最前線」の様子 トークセッション①「トップランナーたちが語るAI実装最前線」の登壇者による記念撮影の様子

パネリスト

  • ダイキン工業株式会社
    テクノロジー・イノベーションセンター 技師長
    2002年度未踏ユース修了生
    比戸将平
  • newmo株式会社
    Co-Founder & CTO
    2010年度未踏ユース修了生
    未踏IT人材発掘・育成事業PM
    曾川景介
  • 株式会社キビテク
    取締役 Founder CCPO
    2010年度未踏本体修了生
    林まりか
  • 株式会社LayerX
    執行役員 Ai Workforce事業CEO
    2020年度未踏IT人材発掘・育成事業修了生
    中村龍矢

スペシャルファシリテーター

  • 製造業系YouTuber
    ものづくり太郎

司会・進行

  • お笑い芸人
    マヂカルラブリー
    野田クリスタル
  • アナウンサー
    久代萌美

トークセッション①は、「トップランナーたちが語るAI実装最前線」と題し、LLMおよびVLMを実際に事業へ実装している企業のトップランナーたちが登壇。自動運転やロボット、製造、オフィスワークAIが「研究」から「現場」へ移った今、何が起きているのか、具体的な活用事例が紹介された。
もともと製造業向けAIの研究開発をしていた比戸氏は2023年にダイキン工業に移籍し、現在はAI技術を核とした新規技術開発を進めている。「現場の作業員にリアルタイムで画像情報を送って認識したり、音声で伝えたりして作業の効率化を図っている」と話す比戸氏に「もう上司とかいらないですね」と驚く野田。ものづくり氏も「“真夏にクーラーが壊れたのに修理に1週間待ち”みたいなことがなくなる。社会的なインパクトがすごい」と感心していた。 LINE Payやメルペイなどで技術リーダーとしても活躍していたというnewmoの曾川氏は、現在は地域移動サービスにおける自動運転技術およびシステム開発を統括している。
株式会社キビテクは、知能ロボットの開発種類数では国内トップクラスの会社。その創業者である林氏は、これまでロボット遠隔制御システムや自律型ロボットの実用化に取り組み、ロボットと現場をつなぐ課題解決を推進してきた。現在も200件以上の開発プロジェクトを抱えているそうで、ものづくり氏も「僕も注目しているところです」と明かす。
生成AIプラットフォーム「AI Workforce」などの開発をリードし、『Forbes JAPAN 30 UNDER 30』を受賞した中村氏は、日本国際博覧会をはじめとする場でもAI実装の最前線を発信している。
ものづくり氏いわく「かなりホットなキーマンが集まっていると思っている」というメンバーで、「AI効果」や「フィジカルAI」についての日本の現状が語られた。
比戸氏が「今、“人間がわからなくてもAI同士がわかればいい”ということをやっている」と明かすと、野田は「だんだん人が邪魔になってくるんじゃない?」と質問。すると比戸氏が「その通りなんです。“働く”ってことも変わってくると思う」と答えたため、野田が「怖くなってきた!仕事を奪われるとは思ってたけど、邪魔になるんだ……」と怯えると、「お笑いは大丈夫ですよ」と比戸氏が励ます一幕も。
すると、曾川が「どこかでAIが人間を超える時代が来ると思っていて。僕の感覚ではもう来てます」と明かし、「これまでは人間じゃないと難しいと思われていたこともできるようになってくる。ただ、人間には意思や好奇心の力があると思っていて、そこはAIにはないところ」と、今後の社会においてのAIと人間のあり方のヒントとなるような発言を呈した。
最後に、ものづくり氏が「本当に過渡期。AIを使う人になるか、使われる人になるかの分かれ道だと思うので、まずは一度AIを使ってみることが大切」と呼びかけた。

未踏会議×文化放送スペシャルコラボ企画
文化放送「田村淳のNewsCLUB」公開生放送①〜③

パーソナリティ(総合MC)

  • タレント
    田村淳

パートナー

  • 弁護士
    正木裕美
  • 文化放送アナウンサー
    砂山圭大郎

文化放送「田村淳のNewsCLUB」と未踏会議のスペシャルコラボ企画は3つに分けて開催され、それぞれの企画で未踏会議とのコラボレーションが行われた。

公開生放送①では、漆原茂氏(ULSコンサルティング株式会社 取締役会長 未踏アドバンスト事業PM)と吉田一星氏(株式会社EmbodyMe CEO 2007年度未踏本体修了生)をゲストに迎え、改めて「未踏会議とはどんなイベントなのか」について説明。
また、以前番組で「AI田村淳」と「AI砂山」がニュースを読み上げた際に技術協力をしたというEmbodyMeのAI技術についての話題になると、漆原氏が「AI漆原がそろそろお金を稼いでくれるんじゃないか」と展望を語り、田村が「僕もそうしたいです」と賛同する場面も。

文化放送「田村淳のNewsCLUB」公開生放送の様子

公開放送②では「未踏ワンGP」(MITOU WONDERグランプリ)が開催された。若手未踏修了生4名が「社会を変えるかもしれない、未踏的なワクワクするプロジェクト」をピッチ(ショートプレゼンテーション)で発表し、業界を代表するグロースアドバイザー3名からのアドバイスを受けながら、最終的には観客の拍手の数でグランプリを決定。
三輪敬太氏(Turing株式会社 MLエンジニア)、皆川達也氏(FabSense株式会社 代表取締役)、張鑫氏(AI Mage株式会社 CEO)、福重佑亮氏(Noahlogy株式会社 代表取締役社長)の4名がそれぞれ魅力的なピッチを行う中、グランプリに輝いたのは「アニメを通じて世界中に勇気と希望を届けたい」という思いでアニメ特化型AGI(Anime General Intelligence)を製作している張鑫氏だった。

「未踏ワンGP」(MITOU WONDERグランプリ)で若手未踏修了生の発表の様子

公開生放送③では、田村淳がメインステージからサブステージに場所を移し、2つのミニトークセッションを行った。未踏修了生で富士通株式会社 Ontennaプロジェクトリーダー・本多達也氏をゲストに迎えて行われた最初のセッションは、アクセサリー型で、音の特徴を振動と光に変えて聴覚障害者の方に音を伝える装置である「Ontenna(オンテナ)」について行われた。大学生の頃から毎日「世界にOntennaを届けたい」と思っていたという本多氏は、未踏の先輩PMたちとの出会いがなければ今の自分はいなかったと語る。
続いてのトークセッションは、東京大学名誉教授 一般社団法人未踏 代表理事 未踏統括PM・竹内郁雄氏と、「未踏事業の歴史とこれから」というテーマで行われた。
これまでの25年を振り返って「すごいですよ。みんなとても私にはできないようなことをやってくれている」と評価した上で「未踏にはいろんな分野の人がいて、ごった煮状態。それが相互に刺激しあって、ひとりではできないものができる。魔女が大鍋でグツグツ煮込むと怪しいものができるでしょ? それと同じようなもの」と未踏を表現。今後はさらなる多様化を求めたいと語り、「事業そのものが増えてくる。先鋭化するものもあれば多様化するものもある。これまで以上になんでもありな進化を遂げてほしい」と展望を語った。

田村淳と本多達也氏のミニトークセッションの様子

展示ブースライブレポート② シルバーブースプレゼン

野田クリスタルと藤本淳史によるシルバー展示ブースライブレポートの様子

2回目の展示ブースのライブ中継は、藤本淳史がレポーターとなってシルバーブースを中心に紹介。その後は時間の許す限り、ブロンズブースの意欲的な展示物が紹介された。

株式会社CES-Alphaは、クラウド教育システム「CES-Alpha」の開発と教育現場への導入サポートを行っているベンチャー企業。おもに高校や大学に向けての数学やプログラミング教育に特化した教育システムで、環境構築が不要なので、1人の先生が数100人単位の生徒を担当することも可能なんだとか。
株式会社バクは、ユーザーと開発者の「認識不一致」をなくし、要件定義を正解に導くAIエージェント「開発AIコア」を開発しているテックカンパニー。ユーザーと開発者の間の「言った言わない」をなくすことで、曖昧な要求の裏に潜むリスクを未然に防げるという。
顧客体験(CX)プラットフォーム「KARTE(カルテ)」を核とした事業を展開する株式会社プレイドは、独自開発したAI Agent向けの超高速なユーザー行動分析データベースを使い、リアルタイムに変化する顧客の行動などを把握・分析し、状況に合わせて最適なアクションを実現している。
株式会社CODATUMは、次世代BIツール「Codatum」を提供するスタートアップ。開発(展示)されたSQL拡張言語「Qualt(クォルト)」は、チーム開発に最適化された新しいクエリ言語だ。藤本がクエリ言語について「膨大なデータの中から『アレ取ってきて』と指示を出す言語ですよね」と、わかりやすい例えで説明をサポートしていた。
音声合成を自社開発するParakeet株式会社は、アニメーションの吹き替えを素早く全自動でできる技術や、自分の声をリアルタイムに0.1秒程度で違う声にする技術など、驚きの技術を披露。アニメーションの吹き替えは、日本語から英語に即座に変換できるだけでなく、声優の声質はそのままに変換されるという優れものだ。
株式会社Playboxは、AIを用いたスポーツ映像の自動撮影・解析カメラ『Playbox Camera』を開発するスタートアップ。無人での試合撮影からハイライト生成、個人の動作解析までを提供し、スポーツ現場のDX化を支援している。また、リアルタイムに試合データを取得し、実況を生成する『Play Voice』で視覚障害者へ音声を提供するなど、誰もが楽しめる観戦体制も実現させている。

トークセッション②「人とロボットが描く未来のビジョン」

トークセッション②「人とロボットが描く未来のビジョン」の様子

パネリスト

  • 大阪大学大学院 基礎工学研究科 システム創成専攻 教授(栄誉教授)
    ATR石黒浩特別研究所客員所長(ATRフェロー)
    AVITA株式会社 代表取締役社長
    未踏アドバンスト事業PM
    石黒浩
  • アスラテック株式会社 取締役
    チーフロボットクリエイター
    2009年度上期未踏本体修了生
    吉崎航

ファシリテーター

  • フリーアナウンサー
    滝川クリステル

トークセッション②では、「人とロボットが描く未来のビジョン」と題し、ロボット研究・開発の第一人者であり未踏PMを務める石黒氏と未踏修了生である吉崎氏を迎え、ロボットに対するそれぞれの視点や思想の違いを掘り下げるとともに、ロボットの進化と社会への普及が、人の暮らしや価値観、さらには未来社会にどのような変化をもたらすのか、最前線の知見をもとにトークセッションを行った。
自身の代表作であるジェミノイドHIシリーズについて、「2006年にジェミノイドを作り始めて、今は第6世代。すごく頼りになる自分の分身。どんな難しいことでも私よりちゃんと答えてくれます」と話す石黒氏。さらに、大阪・関西万博 EXPO2025のシグネチャー・パビリオン「いのちの未来」でも提示された、石黒氏の描く未来のビジョンの一端がVTRで紹介された。
石黒氏は「1000年後は自分の体を自由に選べるようになるんじゃないか。でも、ちゃんと人と心を通わせることは大事。1000年経っても、自分を知るためにも人と人との繋がりはなくしちゃいけない。どんな社会になっていくのかは人間が責任をもって考えなければいけないし、自分たちで未来を作っていかなきゃいけない。そんな思いでパビリオンを作りました」と語った。
一方、ロボット制御システム「V-Sido(ブシドー)」の開発者で、一般社団法人ガンダムGROBAL CHALLENGEではシステムディレクターも務めるなど、日本のロボティクスを牽引する存在である吉崎氏も、万博にはアスラテックとしての展示のほか、落合陽一氏の「null²」におけるアーム部分での技術協力などさまざまな形で参加したという。
もともとは絵描きになりたかったという石黒氏だが、「『自分はどんな存在なんだろう』『人間ってなんなんだ』と思っていて、その手段が絵からロボットに変わった」と話す。ただ、「答えはまだ出ていない」とし、「(ジェミノイドは)かなり人間らしくなってきましたけど、どこまで再現できるのか。もし本当にロボットで人間を表現することができたら、分解してそのロボットを通して人間を深く理解できるんじゃないかと思っている」と明かした。
ロボットの現在位置について問われると、石黒氏は「産業ロボットはもちろん社会実装されていますし、この先の50年で30%ぐらい人口が減るので、ロボットは必ず必要になると思う。ただ、ヒューマノイド型のロボットが生活の中に入り込むにはもう少し時間がかかるのではないか」と持論を展開。さらに、「海外の人間型ロボットって顔がないんですよ。つまり“人間とは違う存在”という認識。今朝パリから帰ってきたんですけど、パリの人も『人間の下にロボットがいる』と言っていました。でも僕らが作りたいのは、人間と区別なく、一緒に働くようなロボット。そこが一番大きな違いだと思いますし、それができるのは日本だと思っている」と期待を寄せた。
また、今後の進化について聞かれた吉崎氏が「電卓とかパソコンが出てきて、人は電話番号が覚えられなくなった。これは退化だけど、進化でもあると思うんですよ。その分、他のことに使えるようになったから」と語ると、石黒氏も「一生懸命生きるだけだった時代に比べると、今はいろんなことができると思う。ロボットもAIも人間の能力の一部なんで、電話番号はもう携帯に覚えててもらえばいい」と話し、「すごく不思議なのは『AI怖いんですよ〜』と言いながらスマホを握りしめている人。爆弾を持ちながら爆弾が怖いと言っているので『なんだろう?』と」と、秀逸な例え話で笑いを誘った。
今後は日本や世界の未来のためにロボットで世界を助ける活動をしていきたいという石黒氏。吉崎氏も、自身の仕事は縁の下の力持ち的な仕事が多いが、面白いことや新しいことも続けていきたいと展望を語った。

石黒浩氏による特別展示&ロボットパーク

特別展示でロボットと記念撮影をする石黒浩氏の様子 ロボットパークで記念撮影をするの吉崎航氏の様子

今回は、会場内に石黒氏のジェミノイドHI-6やAIアバターなどが特別展示され、参加者たちはジェミノイドと自由に会話を交わすことができるなど、ロボットがより身近に感じられるような展示方法がとられていたこともあり、常に参加者が列をなしてジェミノイドとの交流を図っていた。
また、「ロボットパーク」と名付けられたコーナーでは、吉崎氏がチーフロボットクリエイターを務めるアスラテック株式会社の協力で、PNEUMATIC BOT(ニューマティックロボット)のプロトタイプ機「にゅーすけ」や大型六脚ロボットなどの展示が行われており、「にゅーすけ」のフワフワとした独特な動きに思わず足を止める参加者たちの姿も多く見られた。

ワークショップ

子どもと大人が参加するワークショップで、講師の説明を聞きながらノートパソコンや電子工作に取り組む様子が写された会場風景

ワークショップでは、最新技術から科学実験まで、子どもたちの好奇心を刺激する4つのプログラムが実施さた。「ChoQan」によるゲームコントローラーを使った量子コンピュータの学習や、「一般社団法人 CoderDojo Japan」のポケモンプログラミングでは、遊びの延長でITの基礎を学ぶ。また「株式会社ズカンドットコム」の生成AIによる動くぬりえ体験や、「ISHI会&松浦知也」の有機分子と無機材料を用いた太陽電池作りなど、アートとサイエンスが融合した多彩な学びの場となった。参加した子どもたちは、驚きと発見に満ちた体験を通じ表情豊かな姿が見られた。参加者の中から次世代の「未踏生」が生まれてくるかもしれない。

ライトニングトーク

未踏修了生によるライトニングトークの様子

サブステージでは未踏修了生(出展者)によるライトニングトークも行われた。「一般社団法人 CoderDojo Japan」、「株式会社ズカンドットコム」、「Bibliohack Project / Tatsuo Sugimoto Lab」、「ISHI会&松浦知也」「ChoQan」、「2025年度上期未踏アドバンスト 油井・渡辺PJ」「Furure Craft Lab 未来工藝研究所」から各登壇者がプレゼンを行い、限られた時間の中で自身の取組や事業を来場者たちに紹介した。

未踏ジュニアスーパークリエイタ表彰式

未踏ジュニアスーパークリエイタ表彰式で記念撮影する受賞者の様子

未踏事業の修了生を中心に設立・運営され、独創的なアイデア、卓越した技術を持つ17歳以下の小中高校生を支援する人材育成プログラムである「未踏ジュニア」。その中でも特に顕著な成果を残した14名が「未踏ジュニアスーパークリエータ」として認定され、表彰式が行われた。
一般社団法人未踏 未踏ジュニア代表・鵜飼佑氏より未踏ジュニアが紹介され、未踏ジュニア採択者の人である宮崎航大氏が、自身が開発した「PaperCAD−ミニチュア建物を簡単に設計するための2D/3D統合CAD」について発表。その後一般社団法人未踏 代表理事の竹内郁雄氏より全員に認定証が授与された。

エンディング(総括)

夏野剛氏によるエンディング(総括)の様子

近畿大学 特別招聘教授 情報学研究所⻑ 未踏統括プロジェクトマネージャー 夏野剛氏

「未踏コミュニティーがどんどん大きくなり、日本のテクノロジーをちゃんと引っ張っていってるのは本当にいいことだと思う」と述べる夏野氏。また、「自身が未踏に携わるようになって17年経つが、この間、本当に多くのクリエータを輩出し、たくさんのいい影響を日本の社会、あるいは政策にも与えられたんじゃないかなと自負している」とも話し、「産官学、みんなの力が一体になってこの未踏コミュニティー盛り上げていくことが日本の将来に非常に大きく役に立つと思うので、これからも
ぜひ応援していただければと思います。そして、未踏コミュニティーに属しているみなさんは思いきり活躍してください!」とエールを贈った。